不適合者のジャンクヤード

腑に落ちるか落ちないか、読む人次第。拾い物があればご自由に。

感情と論理 ―知らないとこうなります。

論理を重んじない人は、しばしば騒ぐ。

論理を用いての決定、選択は「冷たい」「それでも人か」などと言われる。

でも、感情のみの選択はしばしば誤りがちで、後で困った事態になることが多め。

 

例題:約束って何?

 

あなたはAという国の指導者とします。

Bという隣国が平和条約を破って、攻撃を仕掛けてきました。目的はA国の統合及び民族浄化です。

B国はとても大きく、技術も進んでいます。A国はこのままでは滅亡待ったなし、と思われた時に新兵器の開発に成功しました。

 

数は少ないものの、新兵器の働きは目覚ましくB国の侵攻を国境付近で押しとどめることに成功。戦線は膠着しています。

ここにきて業を煮やしたB国はA国全体に次のように通達、全国に放送をかけました。

「新兵器のパイロットと新兵器をB国に差し出せば、攻撃と民族浄化は取り消す」

 

A国の国民はどう動くでしょうか。というのが思考実験の目的です。

 

私の考え:70%程度の確率で、停戦及びパイロット+兵器の拠出を行うように主張する派が主流に。

理由:おそらく現在の膠着は長く続かない。国民が皆殺しにされるのと、パイロットの拠出(おそらく殺されないと勝手に推測)であれば、人数の多い国民を優先にするべきではないか、という民衆(バカ)の声が大きくなるため。

この選択は「自分は死にたくない」という民衆の感情が優先されているのが見て取れます。一見もっともらしい「数の優先」はタダの後付け理由です。

 

 

論理的に考えるとどうなるでしょうか。

1.B国は「約束を破って」攻撃してきた。

2.B国の侵攻を「新兵器が止めている」

3.B国の要求は「新兵器の引き渡し」 

  これによりB国にとっての障害が排除できる。

 

さて、一度約束を破った実績があるB国は「戦争を取り下げる理由」があるのでしょうか。

いまやA国には抵抗する手段が全く無いのに?

 

自分の犠牲でなければ、人は躊躇することはありません。

その約束が嘘である可能性よりも、「本当かもしれないじゃないか」と希望的観測から思考停止して受け入れます。

そして一旦流れができると「皆が動いているんだから本当じゃないか?」と流れが強化されます。

見分けるポイントは、いつも簡単。

誰が損して、だれが得するのか。

警察でも、司法でも使われるシンプルな論理です。覚えておけばきっと損しませんよ。

 

※やる夫スレ クモさんの新作「巨神戦記アルゴス」の問題の焼き直しです。現在連載途中ですが、変わらず面白いですよ。