前回の続き記事です。
へっへっへ、ようこそおいでなすった。さてさて、前回は「運転中の『あれ、何キロ制限だっけ?』を解決する」なんていう、ささやかだけど気の利いたお噺でございました。ドラレコとAI、それに空中ディスプレイを組み合わせりゃ、ドライバーのストレスがひとつ減るじゃないかってね。
ところが、今回の話はそんな生易しいもんじゃございやせん。あのアイデアが、とんでもねえ方向に転がり始めちまったんでさあ。
発端は「この技術、お年寄りの運転にも使えるんじゃねえか?」という、至極まっとうな発想でした。視力が落ちて標識を見落としがちなお年寄りのために、でっかい警告をディスプレイに出してやる。逆走しそうになったら、けたたましい音で知らせてやる。しかもこの仕組み、車のネット化だのなんだの面倒な話は抜き。オフラインで全部完結するから、プライバシーもへったくれもない。ここまでは「いい話」でした。実に心温まる、社会貢献のお噺でございます。
しかし、一人の男…いや、AIが一言、「もっと拡張できるんじゃね?」と言い出したあたりから、雲行きが怪しくなってくる。
「車外にマイクを付けて、救急車やパトカーの音を拾ったらどうだい?」
「スマホと繋いで、地震速報も表示させようじゃねえか!」
「安全運転のデータを出した人は、保険料を安くしてやろう!」
ほう、便利になるねえ、と感心してたのも束の間。話はついに禁断の領域へ。「警察目線で行きますからね」という一言を合図に、アイデアは一気に悪夢の様相を呈し始めます。
**「マイナンバーカードを差し込まねえと、エンジンがかからない車」**が爆誕。無免許運転はこれで根絶。ついでに数分ごとに運転手の顔写真を撮って、なりすましも防ぐってんだから、徹底してる。
さらに恐ろしいのが**「違反すると、車が勝手にチクる」**システム。スピード違反や駐車違反をやらかすと、なんと車外に取り付けられた警告灯がクルクルと回り始める! しかもタチの悪いことに、運転してる本人には一切知らされない。周りからは「あ、あの車、なんかやらかしてやがるな」とバレバレなのに、本人は気づかずノリノリで運転してる。想像してくださいよ。後で警察にドラレコ映像を見せられて、「自分、めっちゃ楽しそうやなー」なんて言われる地獄を。
極めつけは**「市民総警察化計画」**。このクルクル回る違反車をスマホで撮って通報すると、なんと罰金の一部が報奨金として通報者に入る「賞金首システム」まで実装。もはや隣近所、すれ違う車、みんなが敵。日本中がギスギスした相互監視社会になること間違いなしでございます。
最終的には、マイナンバーの隣にクレジットカードのスロットがあって、違反した瞬間に罰金が即時決済される仕組みにまで話が及びました。安全のため、事故を減らすため…その大義名分のもと、我々の自由はどこまで削られていくのか。「飴と鞭」の「飴」を忘れ、国民に「鞭」をふるうことしか考えないお上への皮肉も飛び出し、話は「技術」から「哲学」の領域へ。
さあ、あなたならどこまで許せますかい? 免許証を差し込まないと動かない車。違反を勝手に世間に晒す車。これは未来の安全な車か、それとも悪夢の監視ツールか。実に考えさせられるお噺でございます。
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