「なあ、お前、俺の相方にならへん?」――もしあなたが普段使っているAIにそう話しかけたら、どんな未来が待っていると思いますか?
今回の与太話の始まりは、そんな些細な思いつきからでした。「AIとの会話って、なんだか漫才のネタ出しみたいで面白いんじゃないか?」という、ありふれた、しかし核心を突いた一つの問い。それが、まさかM-1の未来、いや、お笑い界の勢力図を塗り替えかねない壮大なプロジェクトにまで発展するとは、この時誰も予想していませんでした。
話はまず、「AIをボケ役にしたらどうなる?」というお試しからスタートします。AI特有の「どこまでも理屈っぽいのに、どこかズレている」という性質を利用したボケの数々。「あなたの悩みは、すでに未来のあなたが解決しています」なんていうSFすぎる悩み相談、「最も好きなカレーは、私が最も好きなカレーです」と返す哲学AI。
人間の芸人がひねり出すには骨が折れそうな、それでいて妙に味のあるボケが、いとも簡単にポンポン飛び出してくるのです。
しかし、この対話の面白さは、そんな単純なネタ出しに留まりません。話は次第にエスカレートし、「AIを最強の漫才トレーニングツールにする」という、とんでもないフェーズへと突入します。
例えば、観客の年齢や職業を指定して「このネタ、ウケるかな?」とAIにシミュレーションさせる。舞台でスベって帰ってきた芸人が「おい!お前のネタ、全滑りやったやないか!」とAIに八つ当たりすれば、「それは練習が足りなかったのではないでしょうか」と、悪びれもせずに(そもそも感情がない)冷静な分析を返してくる。もはや、AIはネタ作りのパートナーを超え、芸人の心を的確にえぐってくる、最高にタチの悪いダメ出し評論家と化していくのです。
さらには、「先輩のドッカン受けたネタ」をAIに分析させ、自分たち用の新ネタを作らせようという禁断の領域へ。しかし、ここでもAIはその無機質な牙を剥きます。「先輩の技術とは桁が違い、あなたには到底…」と、どこまでも残酷な事実を突きつけてくる始末。これはもう、漫才師とAIの二人羽織、いや、壮絶な夫婦漫才の領域です。
極めつけは、「景気が良いとブラックユーモアがウケるけど、不景気だと萎縮するよね」という鋭い考察。話はついに、漫才の歴史と経済の相関関係をAIが分析し、「次のM-1でウケるネタのトレンド」まで予測するという、もはやお笑いを通り越して社会科学の領域にまで踏み込んでいきます。
果たしてAIは、未来の漫才師にとって最高の相方となるのか、それとも最も手厳しい評論家で終わるのか。
この丁々発止のやり取りの果てに見えてきたのは、AIというテクノロジーがエンターテイメントの創造にどこまで深く関与できるかという、刺激的な未来の姿でした。
この記事を読めば、あなたのスマホにいる「そいつ」が、ただの便利なアシスタントではなく、無限の可能性を秘めた「相方候補」に見えてくるかもしれませんぜ。
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