ウォーレン・バフェット、年内にバークシャー・ハサウェイCEO退任──そのニュースから始まった今回の対話は、「一人の巨人の終焉」が世界にどんな問いを投げかけるのかを静かに見つめる時間だった。
24歳から70年で資産を50兆円に育てたとされる彼の軌跡を、Excel関数(RRI)で素朴に逆算して出てきた“年利23.4%”。それは単なる数字ではなく、「時間と忍耐で神話を作る人間がいた」という証明でもある。
でもその神話、今の時代に通用するのか?
「人口ボーナス」「グローバル成長神話」「右肩上がりの資本主義」──バフェットの成功は、これら地球規模の追い風に支えられていた。
今やKPIという“短期スコア信仰”が跋扈し、3ヶ月ごとの数字をもてはやすメガネたちが経営を支配する世界。バフェットが信じた「時間に賭ける思想」は、すでに絶滅危惧種かもしれない。
そしてもうひとつの喪失。
相棒チャーリー・マンガーの死。彼はバフェットの“ツッコミ役”として存在し続けた。思想や美学は“対話の構造”の中にこそ宿る。だからこそ、相方を失った思想は、しばし飛翔の熱を失う。
今後、次の“巨人”は誰になるのか?
──あるいは、「人間+他者性(AIや群衆)」という新しい“非対称ペア”の時代になるのか?
「巨人が去った」という事実は、我々に「今の構造をどう再起動するか」という問いを残していく。
そして語り手は、何かを叫ぶわけでもなく、こう締めくくる。
「まあ今日は、静かに終わりを感じるってことで、ここでおしまい」
それでいい。
それが、次の物語を静かに待つ知性の形だ。